車いす生活によるストレートネックをストレッチで解決

車いす生活や障害によって呼吸が浅くなってしまったり、猫背など姿勢が気になったり、肩こりに悩まされているという方は多いことでしょう。
もしかしてそれらはストレートネックが原因かも知れません。

当記事ではストレートネックや猫背姿勢が招く悪循環にと車いすユーザーができるストレッチ方法をご紹介します。

目次

  • ストレートネックの問題点
    −呼吸、循環、筋肉への影響
  • 姿勢が招く悪循環の流れ
    −ストレートネックになる理由
    −肩こり、冷え症、便秘とストレートネックの関係
  • 呼吸・姿勢を改善するストレッチ
    −ストレッチポール・フォームローラーで簡単ストレッチ
    −使用上の注意点
  • まとめ

この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして障害者、車椅子ユーザーのリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。

ストレートネックの問題点

まずはストレートネックになる事で起こる様々な問題点から簡単にご説明していきます。

 

呼吸、循環、筋肉への影響
近年、スマートフォンの普及によって多くの人は下を向く事が多くなりました。

これによって増加したのが、「ストレートネック」です。

首の骨は緩やかにS時のカーブをしていますが、このカーブがなくなりストレートになった状態をストレートネックと言います。

ストレートネックになると頭が前に突き出でで重みで背中が丸まり、胸や肺が圧迫される事で呼吸が浅くなってしまいます。

さらに首の周りには神経や血管、リンパ節、筋肉が多数ある為、この姿勢が長く続くと呼吸や循環に様々な悪影響を及ぼします。

姿勢が招く悪循環の流れ

これからご説明する悪循環の流れは車いすユーザーのみならず、歩行可能な障害者の方など全ての方に共通するものになります。

 

ストレートネックになる理由
  1. 通常、頸椎は緩やかなS字カーブをする事で頭の重みを支え、衝撃を吸収する役割を担っています。
  2. しかしながら、下を向いたり、猫背姿勢になる事で緩やかなカーブがなくなり、頸椎が真っ直ぐな状態になります。
  3. この状態では頭部の重みや衝撃を吸収する事ができない為、首や肩周りの筋肉が頑張って頭を支える事になります。
  4. 首や肩の緊張は次第に肩甲骨や胸の筋肉にまで及び、身体の柔軟性を奪い徐々に頸椎が正常な状態(緩やかなS字カーブ)に戻らなくなってしまいます。
  5. これらの流れがストレートネックになる主な原因です。

 

【車いす生活とストレートネックの関係】
脊髄損傷者や、脳卒中の後遺症、脳性麻痺などで体幹の麻痺があると、頭の重みを支えきれず、ストレートネックの影響を受けやすい特徴があります。
その為、車いすユーザーではストレートネックが多いと言われています。

 

肩こり、冷え症、便秘とストレートネックの関係
  1. 姿勢が丸くなる
  2. 胸が縮んで肺を圧迫、横隔膜の動きを悪くし呼吸が浅くなる
  3. 横隔膜の動きが悪くなると、内臓や血管の働きも弱る
  4. 肩こり、冷え症、便秘、ぽっこりお腹の原因につながる

 

【横隔膜の動きがもたらす影響】
横隔膜は普段の呼吸や深呼吸によって動き、この時に内臓も上下に動かされます。
しかし、胸・肺が潰れ横隔膜の動きが悪いと内臓の動きや腹部の血流が減少し、内臓や循環機能の低下を招く事で「冷え性や便秘など」の症状が現れてくるのです。

 

ここまでで、車いす生活とストレートネックの関係性がご理解頂けたのではないでしょうか。
それでは次に、ストレートネックや猫背を改善するための運動を紹介していきます。

呼吸・姿勢を改善するストレッチ

運動前に記事下部にある、【注意点】を一読していただいてから、実施してください。

 

ストレッチポール、フォームローラーで簡単ストレッチ

出典:ReehutREEHUT マッサージローラー フォームローラー 2in1 ストレッチローラー 筋膜リリース ヨガポール グリッドフォームローラー トレーニング ストレッチ 腰痛・肩コリ・筋肉痛を改善 収納袋付き

使用するアイテムは画像にもある「ストレッチポール・フォームローラー」です。
私も普段の訪問トレーニングで使用しているフォームローラーですが、自分自身のホームトレーニングでも使用するほど愛用しているアイテムなんです。

 

【使用方法(横乗り)】

おすすめは安全な横乗りです。
画像のようにローラーを横向きにして「肩甲骨の下」「鳩尾の下」付近の2箇所にわけて行います。

ポイント

  • 1箇所に乗る時間は5分程度
  • 余裕が出てきたら両手を上げたり、広げて肩や肩甲骨を動かしましょう
  • 深呼吸を意識してなるべくリラックスしてください
  • 勢いよく乗らない

フォームローラーやストレッチポールを使ったストレッチは車いすユーザーでも簡単に実施でき効果も高い為、朝や寝る前などに行ってみてください。

 

使用上の注意点
  • 脊髄損傷等で背骨をボルトで固定している場合や身体が硬すぎる方は負荷が強い為、ハーフタイプから始めるのがおすすめです(画像参照)
  • 背骨を伸ばしているときに呼吸が苦しい場合は頭に枕を噛ませて、慣れてきたら外しましょう
  • 長時間 (1箇所10分以上)の使用は褥瘡の恐れなどがある為、1箇所5分を目安にしましょう
  • 怪我、褥瘡などがある場所は避けてください
  • 腰椎への実施は反り腰を助長するため避けてください

出典:【Amazon限定ブランド】オアシス+ING(オアシスプラスアイエヌジー) リセットポール ハーフカット45(2本セット)

まとめ

車いすユーザーとストレートネックの関係とは

  • ストレートネック、猫背が首周りの筋肉を緊張させる事で、周辺の神経や血管、リンパに悪影響を及ぼし、肩こりや痛みが現れる
  • 胸や腹部が縮んで横隔膜を圧迫する事で、動きが制限され浅い呼吸、冷え性、便秘などにつながる
  • 悪循環を解消するには姿勢の悪化を改善し横隔膜の動きを正常化するためのストレッチが重要

肩こりや冷え性、便秘に悩んでいる方、その原因は普段行っているスマホやパソコン操作の繰り返しによるストレートネックや猫背が原因かもしれません。

車いすユーザーはストレートネックや猫背になりやすいため、積極的に胸(胸椎)をストレッチして正しい姿勢に戻していきましょう。