エグゼクティブ・アドバイザー
竹田 陽介 / Yosuke Takeda
所有資格・所属
- 医師(循環器内科)
- 株式会社Vitaly 代表取締役
- 一般社団法人病院マーケティングサミットJAPAN 代表理事
略歴
2006年 獨協医科大学医学部 卒業
同年 順天堂大学附属病院 臨床研修医
2008年 獨協医科大学附属病院 循環器内科 医員
2010年 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 研究生
2014年 株式会社Vitaly 代表取締役
2017年 株式会社Vitaly 先端医療コミュニケーション研究所 所長(兼任)
障害者の人生を諦めないUTCトレーニング
日本には体に不自由を抱えた多くの身体障害者の方々が暮らしています。
動きに少し制限のある軽度の障害から、車椅子やねたきり生活を余儀なくされている障害まで、その程度は様々です。
菅原代表が代表を務めるUTCは、車椅子生活の原因として広く知られている脊髄損傷をはじめ「体を思うように動かせずに辛い思いをしている方(障害者)」専門のトレーニングジムです。
我々医療従事者にとって脊髄損傷はチーム医療の質が問われる非常に難しい疾患です。
私は内科医として様々な患者さんの診療に携わり、身体障害者の方も多く診てきましたが、そのなかでも特に治療に難しさを感じるのが脊髄損傷を合併している患者さんです。近年では、iPS細胞に代表される再生医療が脊髄損傷治療の救世主として期待が膨らみますが、全ての脊髄損傷患者に有効な再生医療が現場に届けられるまではまだ長い時間が必要です。
日本には10万人以上の脊髄損傷者がいると言われますが、その多くが車椅子生活を余儀なくされています。交通事故、転落、スポーツ外傷などを原因に若くして脊髄損傷となった方にとって、手足が思うように動かなくなってからその後数十年続く人生を「障害者としてどのように過ごすか?」は整形外科医のみならず多くの医療従事者にとって「病院の中の医療」だけでは十分に解決できない難題です。
脊髄損傷患者は、受傷後に脊椎を修復する手術を終えればすぐに手足を動かせるようになるわけではありません。急性期病院またはリバビリ病院での苦しいトレーニングを経ても、自分の力では手足をほとんど動かせず、放っておけば手足の関節が固まってしまうような状態の患者さんも少なくありません。
若い脊髄損傷患者達は、同世代の友人が青春を謳歌する姿を横目で見ながら、何をするにも不自由な自分の手足と向き合い、先が見えない不安や孤独、焦燥感と闘っています。ある日突然手足が動かなくなり、食べることも、トイレも、スマホも、顔をかくことさえも誰かの手を借りねばできない、しかもそれがいつまで続くかわからず、「病院で出来ることはもうありません」と医者に言われてしまう。そのような追い込まれた状況で心身を疲弊させた脊髄損傷患者にとって、「病院の外」でのトレーニングを通じて、再び人生を歩き出す勇気と希望を与えてくれるのがUTCの障害者向けトレーニングです。
UTCの障害者向けトレーニングプログラムは、国内外で多くの障害者の回復に携わってきた菅原代表の経験とエビデンスに基づいて構築されています。
しかし、障害者の人生にとっては、その優れたトレーニング以上に、障害を理解し人生を共に歩んでくれる存在としてのUTCに大きな価値があります。
菅原代表をはじめとしたUTCのトレーナーが多くの患者、家族、そして我々医療従事者から高い信頼を受ける最大の理由は、彼らの「障害者の人生を決して諦めない」姿勢です。
「患者の命を諦めない」ことは医師にもできますが、「患者の人生を諦めない」ことはどんな医療職にとっても非常に難しいことです。
しかし、UTCトレーナーは、誰よりも近くで脊髄損傷者の日々のつらさ、苦しさ、悩みを知り、家族や友人以上に正面からその心に向き合い、その横に並び共に歩むことで障害者の心に希望の火を灯す、障害者にとって人生のパートナーとたりえる存在です。
「手足はもう動かないし、自分の人生なんてお先まっくらだ」と独りで諦めかけていた多くの脊髄損傷者、障害者を支え、立ち上がらせ、再び歩かせてきたUTCは、我々病院で働く医療スタッフにとって、自宅に戻った患者さんを安心して任せられる障害者サポートのスペシャリストです。
以前と全く同じように体を動かせなくても、自分一人でもっと身の回りのことができて外に出かけられるようになれば人生の可能性は大きく広がります。
UTCとの出会いが、皆さんが障害を乗り越え、新たな人生に向けて踏み出す大きな一歩となることを祈っています。