【車椅子ユーザーの身体の仕組み】肩こりが繰り返される負のサイクル

車椅子ユーザーの中には「慢性的な肩こりに悩まされる」といった方が多いと思います。
また、車椅子ユーザーの肩こりはしつこく繰り返される傾向にあり、マッサージをしても改善しない場合があります。

当記事では、車椅子ユーザーが凝りやすい特徴的な筋肉と肩こりや、首の痛みの原因についてをまとめ、その解消方法を紹介していきます。

日頃の車椅子生活で肩こりに悩んでいる方はこれを機会にしつこい痛みから解放されましょう。

目次

・【猫背と肩こり】原因は4つの筋肉
・肩が凝るとなぜ痛みが出るのか?
・車椅子ユーザーの肩こり改善方法
・まとめ

この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして車椅子ユーザーのリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。

【猫背と肩こり】原因は4つの筋肉

身体麻痺や車椅子の構造的な問題から以下の筋肉が凝りやすい特徴があります。

 

車椅子ユーザーが凝りやいすい4つの筋肉
  1.  僧帽筋(そうぼうきん)
  2.  三角筋後部(さんかくきん)
  3.  肩甲挙筋(けんこうきょきん)
  4.  菱形筋(りょうけいきん)

聴き慣れない筋肉も多いと思いますが画像をご覧いただき、大まかにどの辺にある筋肉なのかをご理解いただけたら思います。
これらの筋肉は後頭部から背中にかけて付着しており、肩こりの原因である事が多い筋肉です。

このように肩こりの原因を生み出している筋肉を解剖的に理解する事でイメージがしやすくなり、運動の効果が変わってきます。

身体の構造について少しご理解いただいたところで、車椅子ユーザーの肩が凝りやすい理由を説明していきます。

猫背との関係!車椅子ではなぜ肩が凝りやすいのか?

車椅子姿勢で肩が凝りやすい理由はずばり車椅子に座っている姿勢にあります

  • 背中が丸まっている
  • 首が前に出ている
  • 骨盤が後ろに倒れている

まさに今、このような姿勢で座ってませんか?

この背中が丸まった姿勢を続けていると上記で説明した首、肩、背中の筋肉が緊張し、周囲の血管を圧迫する事で血行不良や循環の低下を引き起こします。

例えば、脊髄損傷などで体幹の安定性や力がない人では、前に倒れを防ぐ為に車椅子の後ろを低くした作りになっている事で、背中が丸くなりやすく、より猫背になりやすい特徴があります。

まとめると車椅子の姿勢(猫背)が肩こりや首の痛みの原因を作り出し、痛みにつながっている。

次に4つの筋肉の中でも特に痛みを誘発している筋肉と痛みの原因について説明していきます。

肩が凝るとなぜ痛みが出るのか?

筋肉と車椅子姿勢の理解が深まったところで、今度は筋肉が緊張する事でなぜ痛みに繋がるのかをご説明します。

 

肩こりで痛みが出る負のサイクル

画像は猫背の状態をしています。

  1. 骨盤が後ろに倒れる事で、首から腰の筋肉が伸ばされて(引っ張られた状態)、お腹側の筋肉は縮む事になります。
  2. この前後のアンバランスな状態を長く続けていると、背部の引っ張られている筋肉が緊張して血管を圧迫し、血行を悪くします。
  3. 血行が悪くなる事で、その周辺の血液循環が滞り痛み物質が誘発され最終的に肩こりの状態になります。

この猫背姿勢を続けている限りマッサージをして一時的に血行が改善されても、再び肩が凝るという負のサイクルが出現し肩こりが繰り返されます。

車椅子ユーザーの肩こり解消方法

ここまでをまとめると

  • 車椅子では4つの筋肉が凝りやすい
  • それは車椅子姿勢(猫背)が原因
  • 長時間この生活を続けていると、肩こりや首の痛みが出てくる
  • マッサージでは根本的な改善は難しい

これらの原因を解決するには車椅子を調整して姿勢を直す、トレーニングやストレッチによって猫背姿勢を改善し、凝り固まった筋肉の血行を改善させる方法があります。

 

肩こり解消トレーニング3選【Part1】

一つ目は車椅子ユーザーでも簡単に出来るテーブルを使った肩周りのトレーニングです。

肩甲骨が背中に張り付いて動きが悪くなると、肩や首を過剰に使ってしまい肩こりや肩の痛みを招く原因になります。
背骨を伸ばす、丸める動きと一緒に、肩甲骨の開く、閉じる動きを意識しながら行なってみてください。
この動作は自宅でも職場でもどこでも簡単にできますの、肩凝り解消としてやリフレッシュとして、ぜひ定期的に行なってみてください。

方法や注意点は動画内の解説をご覧ください。

 

肩こり撃退トレーニング3選【Part2】

体幹回旋
車椅子生活では身体を捻る動作が少なる傾向にあります。捻る動作が少なくなると背骨の硬さにつながり、姿勢が歪んできてしまう恐れもあります。そんな時はこのトレーニングゆっくり行って柔軟性や体幹の安定性を高めていきましょう。
エクササイズバンドを利用したり、スピードを調節しながら負荷を調節すれば、障害の程度に合わせたトレーニングを行う事が出来ます。

方法や注意点は動画内の解説をご覧ください。

肩こり撃退トレーニング3選【Part3】

肩・胸のストレッチ
猫背では胸の前の筋肉(大胸筋)が縮まって伸ばしずらくなり、猫背を助長する原因の一つです。
さらに悪化すると、肩こりの原因、車椅子駆動や移乗動作にも悪影響が出てきてしまうので、動画のように肩を胸のストレッチを同時に行いましょう。

方法や注意点は動画内の解説をご覧ください。



 

まとめ

肩こりや痛みは多くの車椅子ユーザーの悩みだと思います。

痛みが出ている原因を理解した上で、日頃からトレーニングやストレッチを行う事でいつの間にか肩こりが解消され、痛みも減少してくると思います。

トレーニング以外にも車椅子を調整する事で姿勢が変化し、猫背解消の手助けをしてくれます。
最下部のリンク先からご参照ください。

最後にマッサージでは根本的に肩こりを改善する事は難しいです、効果的な方法は運動による血行改善です。動かしている筋肉をイメージしながら動きが悪くなった筋肉をダイレクトにトレーニング、ストレッチしていきましょう。