脊髄損傷の痛みは有酸素運動で解決しよう

寒いシーズンが終わって、だいぶ暖かい日が多くなって来ましたね。
さて、みなさん運動してますか? 特に有酸素運動してますか?
はい!!という声が聞こえてくるといいですが、
実際は車椅子ユーザー、とりわけ脊髄損傷者の方はなかなか有酸素運動をするのは大変ですよね。

日常的に車椅子を漕いでいても、長時間息が上がるまでの運動量はなかなかできていないのではないでしょうか?
また特に身体の痛みがあると運動の気が進まないですよね。

車椅子ユーザーは過体重、肥満、心血管疾患、感染症のリスクがとても高いと言われています。1

また、少し歩行ができたとしても、持久力がなければ、日常的に使う車椅子での活動量が低くなってしまい、結果外での活動が少なくなってしまいます。
その為、有酸素運動は脊髄損傷などの車椅子ユーザーにとってとても大事なのです。

今回は車椅子ユーザーに特化して有酸素運動を考えてみました。

有酸素運動とは

まず有酸素運動とは何か?と言いうと・・・
簡単に説明すると、文字通り、酸素がある状態でする運動。
酸素を取り込みながらする運動ですね。
酸素を取り込みながらというと、実際には長時間継続可能な軽度または中程度の負荷の運動になります。

反対に筋力トレーニングなどしっかりとした力を発揮しないといけない無酸素運動は、酸素を取り込みながらというよりは筋肉に貯めてあるエネルギーを使いながらの運動になります。

有酸素運動の効果

一般的に言われている有酸素運動の効果は

  • 心臓血管系の機能向上
  • 呼吸系機能向上
  • 筋力の維持
  • 骨密度の維持
  • 基礎代謝量の向上
  • 体脂肪の減少
  • ストレスの緩和・発散、モチベーションアップ

などと言われています。
筋肉、骨、心臓血管、など様々な器官に良い影響を与えることができるのです。
更に、最近の研究では脊髄損傷者に対して有酸素運動はα帯域の活動が変化(視床の機能異常が一時的に軽減する)させ、痛みの緩和にもつながると言われています。2

一般的な有酸素運動の例

  • ランニング
  • エアロビクス
  • 水泳
  • ボクシング
  • 縄跳び
  • ヨガ

これらは一般的な有酸素運動の例になります。
中には水泳をしている、車椅子マラソンをしているよ。という人もいるかもしれないですが、環境面の問題から言っても、車椅子ユーザーでこれらを行うのは簡単なことではありません。
また、これから暑い夏になってしまと、体温調節に障害があり汗をかけない脊髄損傷の方は特に外での運動のハードルが高くなってしまいますね。

脊髄損傷でも家でできる有酸素運動

多くのメリットがある有酸素運動を家でできたら最高ですよね。
そこで、家の中でも、そして車椅子でも簡単にできる有酸素運動がこちらです。

アームエルゴメーター

値段や品質はピンキリなので、色々みなさんで調べてもらうのがいいかと思いますが、要は手で漕げるバイクです。
これなら家の中でもテーブルにしっかり固定しておくだけで、強度をあげて有酸素運動ができます。

なぜアームエルゴメーターがいいのか?

もしかしたら最近ではWii fitなどゲームをしながらでも動けるよという方もいるかもしれません。
また日常の車椅子漕ぐのでもだいぶ動けていると思うという方もいるかもしれません。

しかし残念な事に、それでは強度が足りないのです。

慢性期の脊髄損傷者で運動習慣のない人に低負荷のトレーニング(運動強度30%ほどで30分トレッドミルの上で車椅子を漕がせる)をさせたという研究があるのですが、
この程度の運動強度では心肺機能や体力を向上させるのに負荷が足りないと報告されているのです。3

しかし、このアームエルゴメーターではしっかり強度をあげられます。
負荷もしっかりかけられるので、部屋の中でがっつり息が上がるくらいの運動ができちゃうのです。

なかなか、車椅子ユーザーにとってアクセシビリティーのいい運動器具や機会を探すのは大変ですが、これならみなさん比較的簡単に行えるとはずです。
運動不足を感じている方は是非挑戦してみてはいかがでしょうか?
またそれでは物足りない方、家でのパーソナルトレーニングももちろん有効ですので是非ご連絡ください!

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参考文献

  1. Lee HS, Park YO. A study on cause of death and length of survival for patients with spinal cord injury. J Ko- rean Acad Rehabil Med 1994;18:570-5.
  2.  Sato, G, et al. “Effects of Wheelchair Propulsion on Neuropathic Pain and Resting Electroencephalography after Spinal Cord Injury.” Journal of Rehabilitation Medicine, vol. 49, no. 2, 31 Jan. 2017, pp. 136–143., doi:10.2340/16501977-2185.
  3. Scheer, J, et al. “Low-Intensity Wheelchair Training in Inactive People with Long-Term Spinal Cord Injury: A Randomized Controlled Trial on Fitness, Wheelchair Skill Performance and Physical Activity Levels.” Journal of Rehabilitation Medicine, vol. 48, no. 1, Jan. 2016, pp. 33–42., doi:10.2340/16501977-2037.