脳卒中や脳梗塞の後遺症で肩の痛みに悩まされいませんか?
その肩の痛みは「亜脱臼が原因」かもしれません。
亜脱臼の状態放置していると徐々に痛みが出現し、睡眠を妨げたり、ストレスの原因になることもあります。
そこで、今回は脳卒中や脳梗塞で起こりやすい「肩の痛み」について原因と対処法をお伝えします。
目次
・脳卒中の後遺症で亜脱臼が起こる理由
・【脳卒中による肩の痛み】2つの原因
・亜脱臼を防止して痛みを減らす方法
・まとめ
この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして脊髄損傷のリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。
脳卒中で亜脱臼が起こる理由
「脳卒中や脳梗塞で亜脱臼が多い理由」と「そもそも亜脱臼とは」についてについて説明していきます。
肩の脱臼(だっきゅう)と言えば何となく、肩が外れたんだなと想像ができると思います。
亜脱臼とは脱臼ほど大きく肩が外れているわけではなく、肩と腕の間に隙間が空き脱臼の一歩手前といった状態です。
スポーツで起こるは亜脱臼は自然と治る事がありますが、脳卒中や脳梗塞で起こる亜脱臼は自然と治ることは難しいです。
その理由を説明していきます。
脳卒中の後遺症で亜脱臼が起こる理由は肩周りの筋肉が麻痺する事が原因です。
特に弛緩(しかん)性麻痺と呼ばれる病態が関係しており、弛緩性麻痺では力が入りにくくなることで、筋肉が徐々に衰えてしまう特徴があります。
なぜ肩の筋肉に力が入らないと亜脱臼に繋がるのか・・・。
肩の関節は画像ように多くの筋肉や靭帯が一体となって腕の骨を支え安定させています。
しかし、麻痺によって筋力が衰えると、この腕を支える肩周りの筋肉が腕の重さを支える事ができなくなり、肩と腕に隙間が開く「亜脱臼」が起こります。
つまり、「肩周辺の筋肉の麻痺」これが脳卒中後の遺症で亜脱臼が起こりやすい原因となります。
【脳卒中による肩の痛み】2つの原因
亜脱臼が起こる原因は筋肉の麻痺とお話ししましたが、なぜ痛みが出るのかについて説明していきます。
痛みが出る理由
- 肩周りの神経が引っ張られて出る痛み
亜脱臼の問題は肩が重力によって下に引っ張られ続ける事で、首から腕に伸びている神経(上記画像の黄色部)も引っ張られてしまう事です。
この神経(腕神経叢)が伸長されているため、持続的にピリピリした痛みが起こりやすいのです。 - 肩周りの骨と骨が衝突して出る痛み
肩周りの筋肉が麻痺する事で肩、肩甲骨、鎖骨など関節が不安定な状態となります。
不安定な骨同士はぶつかったり、周辺の靭帯、筋肉、神経を履き込んでしまい痛みが出現します。
主にこの2点「神経の伸長」と「骨と骨のぶつかり」が肩の痛みを作っている原因です。
亜脱臼を防止して痛みを減らす方法
肩の痛みは睡眠を妨げたり、精神的なストレスにもなりかねます。しかし、亜脱臼した肩は長期的なリハビリが必要なため、日頃のケアが大切になります。
そんな亜脱臼を予防、防止するサポーターを紹介していきます。
一般的に使われている簡易的なサポーターとして三角巾がありますが、これにはいくつかの欠点があります。
- 肘が曲がった状態のため、硬くなりやすい
- 三角巾が外れやすい
- 1人で装着できない
- 装着したら、腕を動かせない
三角巾による腕のサポートは腕が動かせなくなるという最大のデメリットがあります。その為、肩や腕の筋力低下や関節が硬まってしまう恐れがあるのです。
Ober 拡張版のアップグレード 医療ショルダーサポート 固定肩 脳卒中片麻痺のリハビリテーション機器 (右肩)
- 肘を曲げずに支える事ができる
- 肩関節をしっかりホールドし、体に引き付けてくれる
- サポーターが外れにくい
- 装着し関節を安定させたままリハビリが可能
- 慣れたら1人で装着が可能
三角巾の欠点をカバーし、脳卒中の弛緩性麻痺に起こりやすい亜脱臼を理想的な形でサポートしてくれています。
肩のホールドし、装着したまま運動が可能な為、筋力低下や関節が硬くなることを防ぐ事ができます。
まとめ
肩の亜脱臼を放置すると神経を引っ張ったり、骨同士がぶつかる事で「慢性的な痛み」に繋がる可能性が高いです。
今回ご紹介したサポーターを日常から装着していただき、リハビリを継続することで少しづつ麻痺した腕の回復に繋がると思います。
最後に睡眠時に肩が不適切な位置あることで痛みが悪化する場合もあるため、昼間だけでなく睡眠時のケアも意識していきましょう。
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