脳卒中や脳梗塞、脊髄損傷などの後遺症で歩く時に足首が上がりにくいと思ったことはありませんか?
それは「下垂足」と呼ばれ、「足首自体に力が入らない場合」や「痙性など筋の緊張が高い場合」によく見られる症状です。
そしてこの「下垂足を防止」するために、装具(短下肢装具)を使って補助している方も多いと思いますが、今回は下垂足に特化したサポーター(装具)をご紹介します。
目次
・下垂足で起こる3つの原因と問題
・一般的に使われている装具(短下肢装具)の種類と目的
・【必見】下垂足防止サポーターの紹介
・脊髄損傷者へのサポーター使用例
・まとめ
この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして脊髄損傷のリハビリ、トレーニング経験を多く持つ障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。
下垂足で起こる3つの原因と問題
歩行時に下垂足が起こる原因と問題点として以下の項目が考えられます。
【原因】
- 足首(ふくらはぎ)の柔軟性が低下している
- 足首を上げる力が弱い
- 痙性(ケイセイ)が強く足首が突っ張る
主に足首が引っかかってしまう3つの原因を解消するために、以下の代償動作と呼ばれる問題が起こります。
【問題点】
足が引っかからないよう
- 体幹を傾けて歩く
- 麻痺側の骨盤を過剰に引き上げて歩く
- 全身に過剰な力がはいる
この3つの代償動作を繰り返すことで、身体の歪みや一定のパターンでしか歩くことができなくなってしまう可能性があるのです。
ではこの問題を解決するために一般的に使われている装具からご紹介していきます。
一般的な装具(短下肢装具)の種類と目的
メリット
- 軽さ
- 着脱が簡単
デメリット
- 一度作ってしまうと角度の変更が難しい
- 完成したらやり直しが効かない
- 壊れやすい
- 皮膚と擦れて怪我をしやすい
これらのデメリットがありますが、その「軽さ」から昔から広く普及している装具です。
メリット
- 金属支柱が入っているため体重をしっかり支えてくれる
- 調節ネジが付いているので、角度調節が可能
デメリット
- 金属支柱のため重い
- ゴツいため靴を自由に選べない、左右でサイズが変わってしまう
金属支柱の短下肢装具は支える安定性の変わりに重さが増すことで、麻痺した足を動かす事が大変になってしまうデメリットがあります。
【必見】下垂足防止サポーターの紹介
【OBERタイプ1】
足首にバンドを巻き、ストラップを靴紐に固定することで足首を上げることが可能で、ストラップを引っ張る強さによって角度を調整できます。
欠点としては靴紐を引っ張るので紐が劣化しやすい点が挙げられます。
OBER 足垂れ矯正機 足垂れ昼間用護托矯正機(調節可能)靴を履いても歩けます
【OBERタイプ2】
足首と足指2箇所をバンドで巻き、ストラップで引っ張ることで、足首を上げることが可能です。
タイプ1との違いは、靴を履く必要がない点です。そのため、靴を履いて使用するのであればタイプ1の方がいいと思います。
OBER 垂れ足矯正機 足底筋膜炎夜用足托矯正機 足首固定紐付、角度が調節可能 足垂れ用サポート
基本的な機能はタイプ1、2とも同じですが、「タイプ1は外出用」「タイプ2は屋内用」として使い分ける事ができます。
こちらもOBERタイプ1同様に靴をベルトで引っ張るタイプですが、OBERタイプ1との違いは「ベルトの形状と取り付ける部分」です。
ベルトはワイヤー製で、足首のダイヤルでワイヤーを引っ張り好きな角度で調節できます。また取り付ける部分が靴の紐穴に通すため、紐が引っ張られて劣化しにくいメリットがあります。
最大の特徴は画像のように長ズボンを履いてしまえば、サポーターが外見からはほとんど分からない点です。
脊髄損傷者への使用例
ユニバーサルトレーニングセンターでトレーニングしている脊髄損傷者の方を例に「OBERタイプ1」を使った歩行をご紹介します。
身体状態は頸髄の6番を損傷し、腕から下の身体は基本的に力が入らず感覚も障害されています。
もちもん、足首も自力で上げることができないため、歩くトレーニングでは地面に足が引っかかってしまい、上手くステップを出す事が難しい状態です。
そこで、今回ご紹介したOBERタイプ1を使用することで、足が地面に引っかかることなく、ステップできるようになりました。
このように、脳卒中や脊髄損傷で日常生活で歩いている方はもちろん、トレーンングの際の補助として使うこともできるのです。
まとめ
その装具は本当に合ってますか?
今回ご紹介した下垂足を防止するサポーターは装具のように体重を支える、足首を固定する機能は少ない変わりに、軽さや簡易的なメリットがあります。
病院で作るような装具だけでなく、足首が引っかかる問題だけを解決したいと思っている方はぜひ検討してみてください。