車椅子ユーザーのプロテイン摂取は褥瘡予防に効果あり?

効率的に筋肉をつけたいと思っている方にとっては当たり前になったプロテイン摂取ですが、プロテインは太る?といったイメージを持っている方もいると思います。また、プロテインは筋トレしないと飲まない方がいいのか・・・

と言った疑問を車椅子ユーザー目線でご説明します。

 

まず、プロテインは太るのか?という疑問ですが、基本的に太るかどうかは摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって決まります
これは日常の活動量が少なく、消費カロリーが減少している車椅子ユーザーの方々にとっては、
特に意識しなければいけない部分です。

せっかくプロテインを摂取して体を鍛えるのですから、このカロリーコントロール重要になります。

褥瘡治癒に必要なタンパク質

プロテインは体を鍛えたい方のみならず、車椅子ユーザーの悩みのタネである褥瘡(床ずれ)の治癒にも一役かってくれます。

褥瘡治癒にタンパク質が重要な理由は皮膚が主にタンパク質からできているからです。
そのため、タンパク質の不足は皮膚障害や褥瘡治癒が遅れる原因となります。

体内たんぱく質の低下によって、筋肉量が減り、骨が突出する事で、皮膚組織の耐久性の低下を招きます。
さらに、体内たんぱく質の重要な働きである水分保持力も低下し、褥瘡が発生しやすくなります。

プロテインは褥瘡の治癒のみならず発生率も低下させることができると言えます。

タンパク質を多く含む製品

タンパク質を多く含む製品の例になります。
是非参考にしてみてください。

種類タンパク質含有量カロリー全体量
プロテイン タンパク質 20g100Kcal23g
大豆タンパク質 20g230Kcal55g
鶏もも肉(皮なし)タンパク質 20g130kcal100g
牛ヒレ肉 タンパク質 20g150Kcal100g
豚ロースタンパク質 20g263Kcal100g

一般的な1日のタンパク質摂取量


一般的な1日のタンパク質摂取量は体重1Kg当たり1gとされています。

例えば白ご飯、納豆、卵で約17gのタンパク質が取れます。

体重60Kgの人ですと3食たべても少し足りませんね。
しかし、車椅子ユーザーの方々は普段から消費カロリーが少ない傾向にあるので食事から3食しっかりタンパク質を摂取しようとすると、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが崩れる可能性があります。

そこでプロテインの出番です。

1日1食をプロテインに置き換えることでカロリーは抑えタンパク質はしっかり摂取することができます。
筋トレ後のゴールデンタイムなんてよく聞きますが、無理して運動後に摂取する必要はないと思います。

車椅子ユーザーの方々は一日の中での自分にあったタイミングで1食置き換え型の摂取方法をお勧めします。

プロテインはタンパク質であり、食事(肉、魚、豆)から摂取できる栄養素と同じものです。
だからこそプロテインを摂取するタイミングは食事をするタイミングと同じように考えて構いません。

無理に運動後にプロテインを摂取し、食事も普通に食べてしまっては太る原因になりかねませんからね。

一日の運動やトレーニング、食事によって必要量を把握した上で、自分に適した摂取量を満たしていくことがポイントとなります。

プロテインは筋肉の原料です、ただ摂取すれば筋肉になるわけではありません。
しっかり運動とのバランスをとって摂取しましょう。

是非みなさんも、自分に必要なタンパク質量を考えて食生活を振り返ってみてください!

運動量とタンパク質摂取量

ここからは2020/10/27日の追加情報です。

1日に必要なタンパク質の摂取量はおおよそ「自分の体重(kg)×体重1kgあたりのタンパク質量(g)で計算できます。

しかし、それは運動量によって多少変化することを知っておきましょう。
以下に運動量とタンパク質摂取量の目安をまとめましたので参考にしてみてください。

  • 運動していない人:0.8
  • 週4〜5回、30分程度の運動:0.8-1.1
  • 筋トレ維持期:1.2-1.4
  • 筋トレ増強期:1.6-1.7
  • 持久力トレーニング:1.2-1.4
  • レジスタンストレーニング:1.2-1.7
  • トレーニング初期:1.5-1.7
  • 状態を維持するためのトレーニング時期:1.0-1.2
  • 高強度のトレーニング:1.4-1.7
  • ウェイトコントロール時期:1.4-1.8

例えば「ウェイトコントロール時期:1.4-1.8」であれば「自分の体重(kg)×1.4-1.8のタンパク質摂取」が目安となります。

*情報の引用元:あなたに必要なタンパク質と糖質の最適な量とは

参考文献

  1. 褥瘡患者における血清アルブミン値と栄養供給との関係
    Hirotaka Sugino, Ichiro Hashimoto, Yuka Tanaka, Soshi Ishida, Yoshiro Abe, Hideki Nakanishi
    J Med Invest. 2014; 61(1-2): 15–21.
  2.  厚生労働省ページ たんぱく質 p62~p76 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4f.pdf