脳卒中、脳梗塞向けのおすすめリハビリ、自主トレ「足」編

今回は脳卒中、脳梗塞の「足」についてです。

脳卒中では足首がピーンと伸びる方向に力が入りやすく、この伸びる緊張(痙性)を放置しておくと、足首の動きがどんどん悪くなってしまいます。
入院中はリハビリの時間にケアする事ができますが、退院して週1、2回の外来、訪問リハビリだけでは十分にケアする事が難しくなり、すぐに硬くなってしまいます。

そんな伸びて固くなってしまった足首が日常生活でどんな影響を及ぼすのか、そして足首に対するおすすめトレーニングを紹介して行きます。

足首が「硬い」「内側を向いている」と立ち上がれない

脳卒中や脳梗塞の後遺症で片麻痺になった方、座っている時の足裏はしっかりと地面についていますか?
もしかして足が内側を向き親指が浮いていませんか?

足首が内側を向いたまま立ち上がろうしても、麻痺側の足で踏ん張ることが難しいと思います。
また、ふくらはぎの緊張が高く足首の動きが悪くなっていると、足首の背屈(上にあげる)動作が機能せず、立ち上がりの際の重心移動を阻害してしまうんです。

立つ時は足の裏、特に踵がしっかり地面に接していないと、立ち上がるために必要な力が上手く機能してくれません。
人の足裏には様々なセンターが無数にあり、踵に圧がかかったり地面と接触することで、立ち上がるための筋肉活動が活発化する様にできています。
そのため、足首が内側を向いている状態では、立ち上がる為の筋活動が発揮しにくいんです。
さらに、立ち上がるためには重心を前に移動させた勢いが必要ですが、足首が硬いと前への重心移動ができず立ち上がり動作に過剰な努力が必要になってしまいます。

「足首が内側を向いている」「足首が硬く動きが少ない」この様な方は、立ち上がる時に麻痺していない側の足や過剰に使ったり、手で引っ張ったりする事で、どんどん緊張が高くなってしまう傾向にあります。

足首が硬いと上手く歩けない理由

スムーズに歩くには足首の柔軟性がとても大切です。
足首が硬く動きが少ない、内側を向きやすい足では「体重を支えられない」「重心移動がスムーズにできない」「足を降り出す時に地面に引っかかってしまう」といった様々な問題が生じてきます。

ですので、足首や足指の柔軟性を確保することは歩くために必須と言えます。

脳卒中や脳梗塞の後遺症に多い足首の問題は立ち上がりや歩行など日常生活に大きな影響を及ぼします
また足首は少しの刺激で緊張が上がり、何気ない日常生活動作が原因でさらに悪化させている可能性もあるんです!
今回ご紹介するトレーニングで毎日しっかりケアし、効率的な立ち上がり、歩行を目指しましょう。

脳卒中の自主トレ「足」

脳卒中の自主トレ パート1

  1. タオルや紐など長めの物を使い、足に引っ掛けます
    (図1-1は左手で右足首のストレッチをしている画像です)
  2. 足首をまっすぐ上げる様に引っ張り、ふくらはぎのストレッチをします
    (ストレッチと同時に足首のあげる動きを加えるとより効果的です)

図1-2の様に足首が内側を向かない様に注意してください
*勢いよく引っ張ると反射で緊張が高まる可能性があるため、ゆっくりと引っ張りましょう。

効果
座りながら簡単に一人でできるため、1日数回に分けて実施することをお勧めします。
足首が硬くなっている方は同時に膝裏や腿裏も硬くなっている可能性が高いため、膝を伸ばし前屈しながら腰から腿裏も伸ばすとさらに効果的です

脳卒中の自主トレ パート2

  1. 麻痺側の足指を麻痺していない側の手で握ります
  2. 握ったまま足の指を上にあげ足の裏をストレッチしていきます (図1-1)
  3. 握ったまま足の指を下ににさげ、足の甲をストレッチしていきます (図1-2)

*靴下を脱いで足指の間いに手指を挟んで握り行うと足指の間のストレッチにもなります。

効果
座りながら簡単に一人でできるため、1日数回に分けて実施することをお勧めします。
足の指も手などと同様に硬くなりやすいので、足の裏や甲もストレッチすることで、足首の動きが良くなります。また上下だけでな握ったままくぐるぐる回したり、引っ張る事でより足指周辺の筋、関節の柔軟性UPに効果的です。

まとめ

いかかでしたか?

脳卒中では「足首が硬く上にあがらない」、「内側に向きやすい」といった問題から動きが悪くなってしまう場合が多いです。
足首の硬さや変形は立ち上がりや歩行といった日常生活の動作に大きな影響を及ぼします。
歩くために必要な足首の柔軟性は、上にあげる角度「10°」が必要なので、これを一つの目安にしてみてください。

足首の変形や柔軟性を改善するには外来や訪問リハビリも重要ですが時間や回数に制限があり、十分ではありません。
ですので、ご自身で行う毎日のケアが最も効果的だと考えています。

 

まとめ

  • 足首の硬さや変形性は立つ、歩くなどの動作を阻害する
  • 足首の変形や柔軟性は毎日のケアが大切
  • 動作はゆっくりおこなう
  • 痛みが出ない範囲で行う

 

立ち上がりや歩行動作は単に足首だけの問題とは限らず、体幹や股関節と連動して引き起こります。
ですので、以前ご紹介した体幹や股関節のトレーニングも併用して行うことをおすすめします。
股関節、体幹トレーニング編 こちら

脳卒中ではいかに努力性(頑張って力を入れる、動作を行う)の緊張を高めないかが一つのポイントになってくると考えています。
特に退院後の慢性期ではリハビリが一気に減り、ご自身の特定のパターンの中でしか動きができなくなってしまう場合が多いです。
ですので、リハビリやトレーニングの効果を発揮させるためにも毎日ご自身でできるケアを継続して行なっていきましょう。

参考文献

  1. 回復期脳卒中患者の麻痺側上肢の近位機能と日常生活における上肢スキルの関係
  2. 脳血管障害片麻痺患者の上肢に対するアプローチ
  3. 片麻痺の体幹の崩れ