車いす生活や身体麻痺の影響によって、「肩が回らない」「腰が反る」「股関節が伸びない」と言った様々な身体の悩みを抱えている方は多いと思います。
当記事では様々な身体の悩みを解消できる、運動を紹介していきます。
またこちらを先に一読いただくとよりストレッチの重要性についてご理解いただけると思います。
車いす生活によるストレートネックをストレッチで解決
目次
- 柔軟性のセルフチェック
- 上半身〜体幹への使い方
- 体幹〜下半身への使い方
- まとめ
この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして障害者、車椅子ユーザーのリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。
柔軟性のセルフチェック
まずはご自身の柔軟性からチェックしていきます。
画像のような背中側で両手を掴む事はできますでしょうか?
左右差や指が届かない方は「肩・肩甲骨・背骨」などの柔軟性が低下している証拠です。
そのような方は、これからお伝えするストレッチ&トレーニングで改善していきましょう。
そして、ご紹介する運動はこのような身体の悩みをお持ちの方にもおすすめです。
- 猫背が気になる
- 慢性的な肩こりに悩まされている
- 背骨の歪みを治したい
- 背筋や腹筋を鍛えたい
- 股関節の付け根が硬く、足が伸びない
- 反り腰が強く仰向けで寝れない
- 膝が伸びない、もも裏が硬い方
このような悩みに対してが画像のアイテム(ストレッチポール&フォームローラー)を使って運動方法をご紹介していきます。
上半身・体幹への使い方
【方法】
- 肩甲骨の下にローラーが来るようにセットします
- ゆっくりと寝ていき胸を伸ばしていきましょう
- 余裕がある方は手を上や横に伸ばして肩・胸をさらに伸ばします
- 目安は5分程度
【効果】
- 肩こり解消
- 猫背改善
- 胸郭を広げ呼吸を楽に
【注意点】
- 勢いよくローラーに乗ると背骨や首を痛める可能性があるため、ゆっくりと乗ってください
- 呼吸や胸が苦しい場合は頭の下に枕を敷いてください
【方法】
- 正座または四つ這いの姿勢から、床においたローラーに両手を乗せます
- 画像のように肩と背中を一直線になるようにローラーを前方に転がしていきます
- 目安は5分程度
【効果】
- 肩こり解消
- 肩甲骨や背骨の可動域UP
【注意点】
- 両手を乗せる事が辛い方は片手づつ行ってください。
- 正座ができない方は膝裏にクッションを噛ませ膝が曲がる角度を和らげてみてください。
【方法1】
- (例)体幹が左側に凸し、右側を下にする場合
- 体幹が凸している周辺にローラーが来るようにセットします
- 画像のように肘をつき、右脇腹を伸ばし(下)、左脇腹(上)は縮めるように力を入れ体幹を弓形にします
- 目安は5分程度
【方法2】
- (例)体幹が左側に凸し、左側を下にする場合
- 体幹が凸している周辺にローラーが来るようにセットします
- 手を上に伸ばしローラーの丸みを利用して凸側の体幹と反対(上)を伸ばすように弓形になります
- 目安は5分程度
【効果】
- 背骨の歪み矯正
- 脇腹のストレッチ
- 肋骨の可動性UP
【注意点】
- 不安定でうまく乗る事ができない方は上になった手で支えられる物(椅子やベッドの柵)を準備してください
- 肋骨への負荷が強くな場合がある為、ローラーの上にタオルや枕をおいて実施してください
【方法】
- うつ伏せの状態で両手をローラーに乗せます
- 両手を下に押す力と腹筋、背筋を使って上半身を上下させます
- 背筋のみに力を入れいると腰が反りすぎてしまうので、腹筋と背筋同時に力を入れるイメージで行います
- 目安は10回×3セット、10秒保持×5セット
【効果】
- 体幹筋のトレーニング
- 姿勢の矯正
【注意点】
- 肩が硬く、うつ伏せの状態で手を乗せる事ができない場合は胸の下にクッションを敷いてください
股関節・足への使い方
【方法】
- うつ伏せの状態で骨盤の下にローラーをセットします
- 片足を持ち上げて引き寄せ、伸ばしている側の股関節をストレッチしていきます
- 目安は片方3分程度
【効果】
- 反り腰を改善
- 骨盤矯正
- 仙骨、腰椎周辺の筋膜リリース
【注意点】
- 足を持ち上げる事ができない方は、乗っているだけでも十分効果が期待できます
- フォームローラーが腰の方へ上がると腰が反ってしまう原因になるため、しっかり骨盤の下にセットしてください
- 長時間の使用はお尻の褥瘡を招く可能性があるため、タオルを敷くなどクッション性を持たせてください
- 仙骨部分に怪我、褥瘡がある方は実施を控えてください
【方法】
- うつ伏せの状態でローラーに足の付け根を乗せます
- 肘付きもしくは手つきになり胸、お腹、足の付け根を伸ばすように上体を起こしていきます
- 上体を起こす際は肩甲骨を寄せて肩を下げるようにします
- 目安は3〜5分程度
【効果】
- 股関節の付け根のストレッチ
- 胸・腹部の柔軟性UP
【注意点】
- 足がローラーから落ちてしまう場合は、両膝をバンドなどで固定してください
- 無理やり腰を反ろうとせず、重力に任せて深呼吸を意識します
- 手つきが辛い方は肘付きで行ってください
【方法】
- 両足もしくは片足をローラーに乗せます
- 片足の場合は一方の足はあぐら姿勢のように曲げてください
- 息を吐きながら前屈し、もも裏、膝裏を伸ばしていきます(膝が曲がる場合は手で押さえてください)
- 目安:3〜5分程度
【効果】
- もも裏〜膝裏の柔軟性UP
- 腰部の柔軟性UP
- 腰痛の軽減
【注意点】
- もも裏が硬く後ろに倒れてしまう方は「つかまる物を用意する」「背中を壁につける」等の方法で行ってみてください
- 感覚麻痺がある場合、過度に膝を抑えて伸長すると筋を痛める可能性がある為、ゾワゾワ感や嫌な感じがしたらその感覚がなくなる部分で止めてください
まとめ
ご紹介した運動は我々が関わってきた様々な障害をお持ちの方の悩みを基にしています。
その為、脊髄損傷・脳卒中・脳性麻痺などそれぞれ悩みが異なる場合でも、多くの方に適応できると思います。
ぜひ、肩こりや猫背、股関節の硬さなどに対する効果的な運動を通して身体の悩みを解決していきましょう。
また、下記リンクに車いすでできる運動も紹介している為、ぜひご覧ください。