こんにちはユニバーサルトレーニングセンターです。
今回は前回お伝えした車椅子ユーザーの褥瘡(ジョクソウ)に関しての第3弾になります。
みんさん、大小あれど一度は「怪我」した事はありますよね。
その時どんな処置を行いましたか?
また現在行っていますか?
私は今年、顔に傷を作ってしまいましたが・・・
その時にお世話になった治療法が
「湿潤療法」
という治療法です。
火傷、怪我、褥瘡等に絶大な効果をもたらす湿潤療法ですが
今回は車椅子ユーザーと関係が深い褥瘡(ジョクソウ)について、
湿潤療法の第一人者である夏井先生のお言葉と、褥瘡ガイドラインを元にお伝えしていきます。
湿潤療法では「消毒と乾燥」はNG
「湿潤治療」とは
夏井先生が10年ほど前から始めたもので、
薬も、高価な治療材料も使わずに怪我や熱傷を治してしまうという治療です。
主な治療原則は次の二つです。
- 傷を消毒しない
- 傷を乾燥させない
えっ!! 消毒しちゃダメなの!
と思いませんでしか。
怪我をしたら「傷口を消毒してガーゼをあてて、乾かして治す」!
というのが一般的な考え方だと思います。
しかし湿潤療法は、「自己治癒能力」を最大限に生かす治療法です。
夏井先生が提唱するNGキーワードは「消毒しない、乾かさない」です。
消毒は強い殺菌作用から、ばい菌を殺す作用と共に人の細胞も傷つけて殺してしまうそうです。
消毒はいわば、傷に熱湯をかけているようなもの!!
褥瘡ガイドラインでも
「褥瘡部消毒はどのようにしたらよいか?」の回答に
洗浄のみで十分であり通常は必要ないが,明らかな創部の感染を認め滲出液や膿苔(のうたい)が多いときには洗浄前に消毒を行ってもよい。としっかり記載されていた。(*1
*滲出液:創からしみ出す液
*膿苔:傷の表面にある黄白色のゼリ-状の膿の塊
おどきました!!
最新の治療では消毒はNGなんですね。
小学生の時はよくせっせと消毒液を塗りたくっていたものです。
それがキズに熱湯をかけていたなんて・・・。
(*1褥瘡予防・管理ガイドライン第4版 CQ1.10 推奨度 C1
カサブタは干からびたミイラ
湿潤療法の主な治療原則の一つに「乾燥させない」ことが提唱されています。
ではなぜ乾燥させてはいけないのでしょうか。
みなさん、カサブタができると傷が治っている証拠だ!
と思いませんか。
実はカサブタは傷口の細胞が干からびて死に「ミイラ化」した物なんです。
乾燥してしまうと、細胞は増殖できず、そして、肉芽組織は死んでしまうそうです。
潤いが大切!乾かさない方法とは
消毒しない、乾燥させない
ではどのように治療していくのでしょうか。
それにはドレッシング材と呼ばれる「キズを覆う医療用材料」を使います。
キズの程度やキズから出てくる液の量などによって、このドレッシング材を使い分ける必要があります。
オススメのドレッシング材は
- プラスモイスト
- ハイドコロイド包帯
- キズパワーパット
どれもネット通販で購入可能です。
褥瘡の大きさ、や深さによっても治療は大きく異なります。
必ず医師の指示を仰いでください。
少しの傷なら「まっいいかな」と放っておくと感染症や重症化することもあります。
車椅子ユーザーの「特に感覚が鈍い部分」では、傷から感染を起こしたり、同じ場所を何度も傷つけたりしてしまいます。
干からびた「ミイラ」になる前に、なるべく早く保護しておきましょう。
まとめ
湿潤治療について、その特徴をまとめると次のようになります。
- 従来の方法と異なる新しい治療法で傷が治りやすい
- 治療が早ければ早いほど傷跡も残りにくい
- 乾燥させない
- 消毒しない
- 怪我も熱傷も褥瘡も同じ方法で治療できる
- 治療材料が軽くてかさばらない
- 治療方法が簡単、勘弁
今回は最新の治療法、湿潤療法について車椅子ユーザーと関係が深い褥瘡(ジョクソウ)に関連づけてお伝えしました。
いかがでしたでしょうか。
この治療法は数ある治療の一部にすぎません。
大きな火傷や傷、褥瘡(床ずれ)に関しては必ず医師の指示のもと治療を行いようにしてください。
下記のリンクサイトは夏井先生が湿潤療法について
その効果をわかりやすく説明しています。
合わせてご覧にいただくと、湿潤療法の凄さが伝わると思います。
参考文献
- 褥瘡予防・管理ガイドライン第4版
- キズ・ヤケドは消毒してはいけないー治療の新常識「湿潤療法」のすべて