この記事は自分は障害年金の受給対象なのか知りたい、障害認定の等級や判定基準に関して情報を得たい人向けの記事です。
- 事故や怪我で不自由になり障害年金を申請したいけど、自分は対象なのか知りたい
- 障害年金をもらえる人、もらえない人の違いがわからない
- 障害年金を申請したけどもらえなかった
- 障害等級って何?
そんな障害年金をもらうために必要な「障害の等級」に関してわかりやすく解説していきます。
目次
・障害年金をもらうための等級(1級)
・障害年金をもらうための等級(2級)
・障害年金をもらえる「その他の病気」
・まとめ
この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして脊髄損傷のリハビリ、トレーニング経験を多く持つ障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。
障害年金をもらうための等級とは【1級】
障害年金をもらうには障害がどれくらい日常生活に支障を期待しているのか「障害等級」を判定してもらう必要があります。
この等級は医師や理学療法士が身体を評価して「障害判定基準」を元に決められ、等級に沿った障害年金が支給されます。
それでは障害等級について説明していきます。
身体機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状によって日常生活ができない程度のもの。
(他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度)
【聴覚障害】
・両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
【視覚障害】
・両目の視力の合計が0.04以下のもの
【上肢障害】
・両上肢の機能を著しく障害されている、全廃したもの
(関節の可動域が1/2以下に制限され筋力も半減している)
・両指を全て失っている、または動かすことが難しい
【体幹・脊髄障害】
・体幹の機能障害により座っている、立ち上がることができない
・腰掛け、正座、あぐら、横座りのいずれもできない
・寝た状態、座った状態から自力で立つことができない
【下肢障害】
・両下肢の機能を著しく障害されている
(可動域が1/2以下に制限されかつ筋力が半減している)
・両下肢を足関節以上で失っている
脊髄損傷のポイント
- 高度の四肢麻痺*が認められるもの(両手足の麻痺によって常時*、日常生活に介助が必要)
- 高度の対麻痺*が認められるもの(手又は両脚の自力運動が難しく、日常生活に支障をきたす状態)
- 中程度の四肢麻痺*で日常生活に常時介助が必要
- 中程度の対麻痺*で日常生活に常時介助が必要
その他、脊髄損傷によって膀胱機能や感覚障害が生じた場合は運動麻痺と複合的に判定されます。
*「常時」・・・普段、いつも。
*「四肢麻痺」・・・・両手足の麻痺
*「対麻痺」・・・片側の手足の麻痺
障害年金をもらうための等級とは【2級】
続いては2級の判断基準になります。
ここでは介護・介助の度合い(常時か随時か)がキーになってきます。
身体機能の障害又は長期にわたる安静を必要とするもの。
日常生活に著しい制限を受けるか又は制限を加える必要があるもの。
(必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度)
【聴覚障害】
・両耳の聴力レベルが「90デシベル」以上のもの
【視覚障害】
・両目の視力の合計が「0.05以上」で「0.08以下」のもの
【平行機能障害】
・平行機能に著しい障害を有するもの
(目を閉じて立っていられない、目を開けて10m以内に転んでしまう)
【咀嚼・嚥下機能の障害(そしゃく・えんげ)】
・そしゃく機能を欠くもの
(歯、顎、口の中、喉、食道の障害によって食事ができない、誤嚥の危険が大きい場合)
【音声・言語の障害】
・音声や言語に著しい障害を有するもの
(歯、顎、口の中、喉など声を発する器官の形態異常や運動が障害されている場合)
(失語症など脳の言語領域が障害され言語機能が低下した場合)
【上肢障害】
・一上肢の機能が著しく障害されている
・一上肢の全ての指を失っている
・両上肢のすべての指を欠くものもしくは動かすことが難しい
・両上肢の親指または人差し指または中指を失っているもしくが動かすことが難しい
【体幹・脊髄障害】
・体幹の機能障害により歩くことができない程度の障害
(室内では杖などを使わずに歩けるが、屋外では杖などが必要)
・体幹の機能障害により立ち上がる事が困難なもの
【下肢障害】
・両下肢のすべての指を欠くもの
・下肢の機能に著しい障害を有するもの
(両下肢をひざ下からの2分の1以上で欠くもの、下肢を足関節以上で欠くもの
脊髄損傷ポイント
- 中程度の四肢麻痺*が認められるもの
- 軽度の四肢麻痺*が認められるもの(随時*、生活介護が必要)
- 中程度の対麻痺*が認められるもの(随時*、生活介護が必要)
- 対麻痺*に加え膀胱障害や感覚障害を認めるものなど
中等度の麻痺とは杖や手すりに捕まれば少しの時間立つことができたり、生活でも介助が随時必要な場合と位置付けられますが、感覚障害や膀胱機能の障害と複合的に判定されるため、一概に運動麻痺の程度だけで判定されないということです。
*「随時」・・・その時々。常に介助の必要はないが場合によって必要。
*「四肢麻痺」・・・・両手足の麻痺
*「対麻痺」・・・片側の手足の麻痺
障害年金がもらえる「その他の病気」
その他の障害の判断基準は以下の通りになります。
- 1級:病気が原因で長期間の安静や他人の介助が必要でほとんど身の回りの動作ができない状態
- 2級:日常生活に大きな支障が起こり、労働によって収入を得にくい状態
【精神疾患】
・統合失調症、てんかん、知的障害
【呼吸器疾患】
・肺結核
【心疾患】
・心筋梗塞、狭心症
【肝疾患】
・肝硬変など
【腎疾患】
・慢性腎不全、糖尿性腎症
【代謝性疾患】
・糖尿病、脂質代謝異常症
【神経疾患】
・外傷性の神経障害、糖尿病性神経障害
【癌】
・大腸ガン、胃がん、肺がんなど
【血液疾患】
・白血病、再生不良性貧血
全てではないですが上記の病気も障害年金がもらえる対象となっています。
詳しくはこちらでご確認いただけます。
国民年金・厚生年金保険 障害認定基準
まとめ
障害年金の判定基準は複雑で、運動麻痺や日常生活への影響度、感覚麻痺、病気が複数ある場合など、複合的に判断されるため、ご自身で完全に判断することは難しいと思います。
大まかな障害判定基準のポイントは「筋力低下」と「日常生活にどれくらい障害が及ぶか」で判断されることが多い印象です。
この筋力低下や日常への影響を判定するのは医師や理学療法士で、それを基に障害年金を扱っている役所の担当者が判断するということになります。
障害年金を申請したけどもらえなかったという人も多いため、今回の情報をきっかにご自身がどの等級に当たるのか参考していただけたら幸いです。