「便秘」に悩む車椅子ユーザー向けの記事です。
便秘を解消するには食事や水分摂取を意識する必要もありますが、車椅子ユーザーでは運動が特に重要です。しかし、多くの情報は健常者用であり車椅子ユーザーでも実施できる運動の情報はとても少ないです。

そこで当記事では食事や水分摂取を意識しているがなかなか効果がでない、また運動もしたいが方法がわからない
こんな方向けに車椅子ユーザーに便秘が多い理由と便秘を解消する腸活運動をご紹介します。

目次

・車椅子ユーザーが便秘になる原因
「身体麻痺による影響」「神経麻痺による影響」
・便秘を解消する腸活運動
「腹圧」「呼吸」「腸活」「猫背」
・まとめ

この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして障害者、車椅子ユーザーのリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。

車椅子ユーザーが便秘になる原因

車椅子ユーザーに便秘が多い理由は大きく「身体麻痺」と「神経麻痺」の2つに分ける事ができます。
今回はこの2点に分けてお伝えしていきます。

 

身体麻痺による影響

【運動が難しい】
健常者は生活の中で腸が伸びたり、捻られる刺激が加わりやすいですが、車椅子ユーザーでは立つ、歩くなどの腸を刺激する運動が少なくなる事で腸の活動が低下します。

【腹筋や肛門筋が使えない】
麻痺によって腹圧や腹筋がうまく使えない場合、お腹に力を入れて便を押し出す事が難しくなります。また肛門にある括約筋(外肛門括約筋)をうまくコントロールできない場合も肛門が開かず便が詰まる原因となります。

【猫背】
体がくの字に曲がることで、腸が押しつぶされスペースが狭くなり、腸の蠕動運動が低下します。
肩こりで有名な猫背ですが、このように内臓の機能低下にもつながる可能性があるのです。

 

神経麻痺による影響

【大腸の働きが低下】
脊髄損傷や脳性麻痺などで起こりやすく、腸の動きコントロールしている自律神経が麻痺によって大腸が正しく働かない事で生じます。

【水分摂取量】
膀胱の神経が麻痺する事によって失禁しやすい場合があります。それを懸念して水分摂取を控えてる事で、腸内の水分量が低下し便がカチカチになっていきます。

【緊張性便秘】
その他、腸の緊張により一部が狭くなる事で便の通過が障害されている場合があります。これはストレスや夜遅くまでスマホを見ている事で、交感神経が優位になり生じます。

便秘を解消する腸活運動

車椅子ユーザーが便秘を解消するには「腸の刺激」「姿勢の改善」「自律神経の調整」が鍵となります。
それではここから4つの腸活運動を紹介していきます。

【運動を行う上での注意点】
運動はゆっくり行い、過剰に緊張た自律神経を整える為にも呼吸を意識してリラックスしながら行なってください。

 

腹圧を高めて腸を刺激しよう

【方法】
仰向けで両膝を抱え、膝を胸の方に引き上げます。
この姿勢から腹式呼吸(鼻から空気を吸い込みお腹を膨らませ、口から息を吐き出す)をゆっくり行い腹圧を使って腸を刺激していきます。
呼吸筋が弱い方は腸活と同時に呼吸トレーニングになり一石二鳥です。

*目安は「5秒吸って、7秒吐く」を10回繰り返します。

 

縮んだ腹筋を伸ばそう

【方法】
うつ伏せから上体を起こし胸と腹部、股関節を伸ばしていきます。
車椅子に座った姿勢が続く事で、体幹の前面が潰れやすくなる為、この運動でお腹伸ばし腸の動くスペースを確保しましょう。

*目安は最低1日1回3分〜5分程度

 

腸をひねり活発化させよう

【方法】
正面を向いて背中を伸ばし息を大きく吸います。
次にゆっくり息を吐きながら下腹部を凹ませ、後ろを見るように体を左右にひねります。
ひねりが足りない場合は手で椅子や車椅子を押してください。
車椅子生活では腸をひねる(体幹をひねる)機会が少ない事で腸の活動が低下しガスが溜まりやすくなっています。
その為、意識的に腸(体幹)をひねり腸の動きを活性化させましょう。

*目安は左右10回ずつを2セット

 

正しい姿勢で腸の動くスペースを作ろう

【方法】
壁に寄りかかり背中を真っ直ぐにばした姿勢で座ります。壁に寄りかかれない場合はなるべく車椅子上で背中を伸ばしてください。
この姿勢を保ち深呼吸を繰り返して猫背を矯正していきましょう。

*目安は週に数回、1回5分

 

便秘が続くと腸内環境が悪化し様々な身体の異変や免疫力の低下につながります。その為、適度な運動で便秘を解消し腸内環境を綺麗に保ちましょう。

その他、車椅子上でできるトレーニング紹介はこちら。
車椅子でできる体幹トレーニングと姿勢改善について

猫背改善に特化した車椅子トレーニングについて

まとめ

  • 車椅子ユーザーでは身体麻痺や神経麻痺の影響から腸の活動が低下しやすい
  • 腸への刺激が少ない事で腸の動きが停滞している
  • 猫背は腸を圧迫して動きを妨げガスが溜まりやすくなる
  • 便秘を解消するには「腸の刺激」「姿勢の改善」「自律神経の調整」が鍵

車椅子ユーザーに便秘が多い理由と便秘を解消するための腸活運動をご紹介しました。

今まで食事をいろいろ改善してきたけど、便秘が解消されなかったという方はぜひ今回ご紹介した運動も定期的に取り入れて腸活を行っていきましょう。

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【参考文献】

  1. 赤居正美,脊髄損傷の排便マニュアル,リハビリテーションマニュアル29,2013