車椅子生活が長くなると身体麻痺や筋力低下によって徐々に姿勢の歪みが起こる事があります。
姿勢の歪みには背中が丸くなる「円背」、腰が反ってしまう「反り腰」、そして「骨盤の歪み」などがあります。
このような姿勢の歪みを放置していると可動域の低下や骨が変形し、なかなか修正する事が難しくなってしまいます。

当記事ではそんな車椅子生活で起こりやすい、姿勢の歪み「円背、反り腰、骨盤の歪み」について具体的に説明し、おすすめの姿勢改善トレーニングをお伝えします。

目次

・車椅子ユーザーに多い肩こりの原因【猫背】
・長時間の車椅子姿勢が原因【反り腰】
・足を組むことで歪みが発生する【骨盤の歪み】
・歪んだ姿勢を改善させるトレーニング
・まとめ

この記事は、理学療法士やアスレチックトレーナーとして障害者、車椅子ユーザーのリハビリ、トレーニング経験を多く持つ、障害者専門のパーソナルトレーナーが書いています。記事の内容はすべての車椅子ユーザーに当てはまるわけではございません。

車椅子ユーザーに多い肩こりの原因【円背】

背中が丸くなる円背姿勢の原因を「車椅子のたわみ」「背もたれ(バックレスト)」「車椅子の角度」「背筋の弱さ」の4つの視点からご説明していきます。

 

車椅子の歪みとたわみ

車椅子の座面はベルトやバンドを引っ張る事で沈み具合を調整できる場合が多く、長年をメンテナンスしていないとたわみが大きくなっている可能性があります。

「車椅子のたわみ」があると座面が沈み骨盤が後ろに倒れる事で、背骨が曲がり背中が丸まった姿勢となってしまいます

車椅子の座面はクッションが敷いてあるため、日頃から調整している方は少ないく、車椅子を作った時から一度も調整した事がないという方も多くいらっしゃいます。
実は知らずに座面や背面のシートが歪んでしまっている可能性もあるためこれを機会に見直してみてください。

 

背もたれのたわみ【バックレスト】

背もたれも座面と同様に長年も垂れかかっていると、たわみが大きくなり背骨が曲がる原因の一つです。
また、車椅子の「バックレスト」が身体機能に合っていない場合もあり、姿勢が安定している方でもバックレストが背中全体を覆ってしまっている方がいます。

バックレストが長いと、どうしてももたれ掛かってしまいがちの為、座位が安定している車椅子ユーザーは身体機能に見合った適切なバックレストを使う事で円背姿勢を防ぐ事ができます。

 

車椅子の座面傾斜

車椅子の中には座面を後方に傾けた構造の車体があります。
この傾斜は身体が前方に倒れるのを防ぐ為ですが、座面はフラットな方が骨盤が後ろに倒れずに座る事ができ、車椅子を漕ぐ力も伝わりやすい特徴があります。

体幹や上肢の機能が弱い方は後ろに傾斜した車体を使う必要もありますが、一方で傾斜をつける必要がない方でも、大きく車体が後ろに傾き骨盤が傾斜してしまっている場合もあります。
このような時は車椅子の構造から見直す必要があります。

 

身体麻痺による体幹筋の弱さ

体幹筋、特に背筋が弱い場合はどうしても背もたれを高くしたり、たわませる事で前方への転倒を防止する必要があるため、円背姿勢になりやすいです。

バックレストにもたれている姿勢では体幹筋が徐々に弱っていき、身体を支える事がさらに難しくなってしまうため、できるだけ体幹筋をトレーニングする事が必要があります。

 

車椅子ユーザーは上記のような車椅子の構造や身体麻痺から円背姿勢になりやすく、これが続くと肩こりなどの症状が慢性的に出始めます。

*背もたれや座面のたわみを調整し姿勢を直すと、座っている事が難しくなる可能性があるため、専門家に適切なポジション調節を依頼してください。

長時間の車椅子姿勢が原因【反り腰】

車椅子生活で腰が反ってしまう原因

車椅子に座っている姿勢では「腸腰筋」が常に縮んだ状態になります。画像を見て頂くと腸腰筋は腰の骨に付いているのがわかると思います。
この腸腰筋が縮んだり硬くなると、腰が前に引っ張られ反り腰の状態になってしまいます。

 

反り腰による影響

腸腰筋が硬くなると寝た時、立った時などに特に影響が出てきます
例えば仰向けで寝た時は腰が反った状態となり寝苦しいさを感じる為、横向きで寝ている方が多い印象です。
横向きの姿勢は股関節と膝が曲がり、寝ている時も車椅子姿勢と同様に腸腰筋が縮んだ状態が続いてしまいます。

また、立位では腸腰筋が硬いと出っ尻の状態となり、正しい立位姿勢を保つことが難しくなります。
正しく真っ直ぐ立つことができれば力はそれほど必要ないのですが、出っ尻の状態では立つ姿勢を保つために無駄な力を使わなくてはなりません。

これらのように一度、腸腰筋が硬くなり反り腰になってしまうと、生活やトレーニングにおいて様々な支障が出てきます。
ですので、まだ反り腰になってない方や怪しいなと思う方は今からでも間に合いますので、おすすめのストレッチを毎日実践してみてください。

足を組む事で歪みが発生する【骨盤の歪み】

足を組むと体はどう歪むのか?

足を組むと体がどのように歪むのか意識した事はあるでしょうか?
例えば画像のように左足を上にした組み方の場合、骨盤と背骨が前に捻られ、体が左に曲がった姿勢となります。
右足が上の場合は全て逆の動きをします。

多くの方は無意識に片足ばかりを組みがちで、このような体の捻れを日々繰り返していると、骨盤や背骨の歪みに繋がってきます。

 

いつも片方に体重を預けてませんか?

車椅子に座っている時つい片方のアームレスト(肘掛)に肘を置き、偏った姿勢になっていませんか。
これも、足組みと同様に片方に重心がずれる事で左右の骨盤や体幹に左右差が生じてしまいます。

麻痺による身体の左右差から片方に体重を乗せたほうが楽という理由であったり、感覚麻痺から真っ直ぐの姿勢が分かりづらいなどの理由で偏った姿勢になります。
このような姿勢の変化には自分で気づきにくいため、鏡で姿勢をチェックしてみてください。

これらの原因を解決するには車椅子を調整して姿勢を直す、トレーニングやストレッチによって姿勢を改善する方法がありますが、今回は姿勢改善におすすめのトレーニングをご紹介します。

姿勢の歪みを改善するトレーニング

歪んで癖ずいてしまった骨盤や背骨を修正するには「姿勢を正す意識」と「定期的なトレーニング」が必要です。
車椅子ユーザーでも簡単にできるおすすめのトレーニングを2つご紹介します。

うつ伏せでの腸腰筋ストレッチ

股関節の付け根を簡単にストレッチスするにはうつ伏せが最適で、就寝前に数分うつぶせになるだけでも効果的です。
介助者が膝を曲げる事でさらにストレッチ効果が高まります。

*腿前の筋肉や腸腰筋の柔軟性が低下している場合、勢いよく膝を曲げすぎると筋肉を痛める場合がある為、徐々に伸ばしていきましょう。

 

背筋、背骨の回旋トレーニング
背筋をトレーニングする事で、バックレストに頼らなくても骨盤を起こしたきれいな座位姿勢の獲得につながります。
また、回旋動作が少なくなりやすい車椅子ユーザーは、背骨を識的に回旋させる必要があります。
動画のようにゴムバンドを使う事で強度を調整しながら実施してみてください。

 

まとめ

今回は車椅子生活による姿勢の歪みについてその原因と対策をお伝えしました。

姿勢の歪みは身体麻痺や日頃の癖が大きく影響している他、車椅子の構造的な問題にもあります。これらを解決する方法として、姿勢が歪む原因を理解し、無意識に行っている癖づいた動作を意識的に変えていく必要があります。

車椅子生活で硬くなりやすい筋肉や円背姿勢を日頃のトレーニングによって少しづつ改善させていきましょう。