今回のユニバーサルトレーニングセンターの記事は脳性まひ女性の結婚生活と子育てについてです。

私は「脳性麻痺女性の結婚と育児」という文献で脳性まひ女性の結婚へのハードルの高さや妊娠、出産への悩み、大変さを思い知りました。
そして、彼女達の障害があっても負けない気持ちと障害を乗り越える強さを感じました。

そこで今回、脳性まひ女性の結婚や妊娠、出産を取り巻く環境を脳性まひの方々に関わる全ての人に伝えられたらと思い記事にしました。
それでは、文献で調査された脳性まひ女性7名の内、1名の女性をピックアップしてご紹介していきたいと思います。

脳性まひ女性の生活情報

家族構成

  • 年齢:33歳
  • 病名:アテトーゼ型脳性まひ
  • 身障等級:1種1級
  • 家族構成:夫(軽度のアテトーゼ型脳性まひと言語障害)
  • 子供:女の子3歳

本人の障害の状態

彼女は重度障害に区分され、日常生活を営む上でほぼ全ての動作において介助が必要な状態でした。
その中でも取っ手付きのコップを辛うじて持つことができたり、お皿に口を近づける事で食事をする事はできていたようです。
移動手段は家ではいざり、外では電動車椅子を使用するような状態でした。

手当や保護については

  • 障害基礎年金 (2名分)
  • 心身障害者福祉手当 (本人のみ)
  • 重度心身障害者介護手当 (本人のみ)
  • 生活保護を受けてる
  • 夫の就労 (パートタイムによるハンディキャブの運転手)

という状態であったと述べられています。

介護の問題点

日常動作にほとんどの介護を要する彼女はヘルパーや家政婦、学生のボランティアも活用しながら生活を送っていました。
*詳しいヘルパーの頻度や回数に関しては文献をご参照ください。

市の援助も受けていましたが、生活を行う上で必要な介護にも制限があり、足りない分は自費で賄わざるを得なかったようです。
彼女にとって日常生活を営む上で介護の手は不可欠です。
ですが、介護を受けるには大きな問題も抱えていました。
それは

  • ヘルパーが容易に得られない
  • 長期的かつ定期的に援助をしてくれるボランティアを見つけるのが非常に困難
  • 当日になって急に休む介助者がいること
  • 夫が介護と育児に疲れ疲労していること

ヘルパーのサポートが途切れる事は、その分家族、夫への負担が増える事に繋がり、悪循環を招き大きな問題となっていました。

障害があっても妊娠・出産は出来る!

自身の障害の状態、家族、ヘルパーの問題を抱えながらも、彼女は出産を望み、そして見事成功させました。

しかし、もともとの身体機能の事もあり、妊娠出産は通常よりも過酷なものだったようです。
妊娠に関してはつわりがひどいにも関わらず、妊娠している事で緊張を抑える薬を服用する事が出来ず、常に身体の緊張が激しかったようです。

育児の苦悩

彼女は出産と同様に、子育てにも励みました。
しかし、子育てに関しても彼女自身で手を動かし、育児が思うようにできず、
育児の葛藤や子供の成長につれ、不安、課題が積もっていきました。

育児に関する彼女の葛藤を文献から抜粋させていただくと

子育てをしながら、おむつを代えることも、満足にお乳を与えることも、また甘える子どもを抱いてやることも出来ない自分が、ひどく悲しかった。
子どもを生むまでは障害があるのは仕方ないと諦めていたが、これほど自分の障害を恨んだことはなかった。

と述べられています。
母親としての心情がとても感じられる言葉だと思います。

このような心情で子育てをするには非常に心苦しいことでしょう。
重度障害での妊娠、出産は一般的に難しく、ハードルが高いと考えられています。

しかしながら、そのような心苦しい状況でも育児を可能にするのは彼女達を周りで支えている夫、ヘルパーやボランティア、そして家族の存在でした。

ヘルパー、ボランティア援助、夫や親の支えや理解は育児において必要不可欠なのです。

脳性まひ女性の育児にまつわる問題

今回の文献で紹介されている、脳性まひ女性の結婚、育児にまつわる7人のアンケートの項目をいくつか抜粋してご紹介したいと思います。

  7人の女性にアンケート
結婚、育児にまつわる問題
Yes No
1 出産には両親や周囲の反対があった 5人 2人
2 医師の反応が驚いた様子であった 2人 5人
3 妊娠で身体、精神的に辛い経験をした 7人 0人
4 帝王切開による出産をした 7人 0人
5 妊娠、分娩による一時的な障害の増悪があった 2人 5人
6 自分で赤ちゃんを抱けた 3人 4人
7 自分で母乳を飲ませる事ができた 3人 4人
8 自分でオムツを取り替える事が出来た 3人 4人
9 子供がいじめにあった 1人 6人
10 子供がいじめに合うのではと心配した 6人 1人

今回のアンケート調査で脳性まひ女性の妊娠や子育てにおいて、何らかの辛さや不安を感じてたという事、また7名とも帝王切開での出産であった事がわかりました。
一方で、子供のいじめを不安視されている方も多くいましたが、実際にいじめを経験した子供は少なかったようです。

まとめ

今回は文献で紹介されていた脳性まひ女性1名を紹介しました。
7名の脳性まひ女性の調査でわかったことをまとめると

  • 本人が介助者(ヘルパー)に気を使い、精神的負担が大きい。
  • 我が子の育児、スキンシップの取り方に苦労を感じている。
  • 日常生活のほとんどに介護が必要にも関わらず、介助者が少なく、夫への負担が多くなっている。
  • 両親や周りから結婚への理解が得られにくい。

実際に彼女たちは障害に負けず結婚生活、育児を様々な工夫で乗り越えています。
しかし、そんな彼女達の負担を一層大きくしているのは障害に対する周囲の理解不足によるところが大きいように思えました。

今回の記事を読んで頂いた方、その周りの方々の少しの理解や支えが増えることによって、
脳性まひ女性の結婚や妊娠に対するハードルを下げるお手伝いができたら幸いです。

ユニバーサルトレーニングセンターでは運動を通して、「今できている事」を維持し、「できなくなる事」を防ぐ、そして、「今以上の生活の向上や健康の維持」を当事者の皆様と目指します。
さらに、我々が脳性まひの方々を取り巻く現状や周りの環境を理解し、発信をしていく事で、ご家族やヘルパーの方々が少しでも理解を深めていただけたらと思っております。