脳卒中・脳梗塞向けのおすすめリハビリ「肩・肩甲骨」編

脳卒中で半身マヒになられた方は自主トレでどんな事をされてますか?
脳卒中や脳梗塞の自主トレでは間違った方法を繰り返す事で逆に悪化させてしまう可能性があるんです。
そこで、今回は脳卒中、脳梗塞向けのおすすめリハビリと自主トレ「肩・肩甲骨」編をご紹介します。

すでにご存知の方もいると思いますが、脳卒中後遺症の自主トレでは注意すべき点がいくつかあります。
脳卒中後遺症の手、上肢は、痙性(ケイセイ)によって体の前で肘が曲がった状態となりやすく、過剰に力が入ると一定方法に緊張が高くなっていきがちです。
そして、脳卒中によって脳の神経がダメージを受けたことで、頑張りすぎる動きを繰り返すと、この特徴的なパターンがどんどん強くなります。

この過剰に力が入る、一定方向に引っ張られるといった、脳卒中後遺症の特徴的なパターンを考慮した上で効果的な自主トレが行えるようにお伝えさせていただきます

脳卒中の自主トレで注意すべき点

脳卒中の自主トレーニングで注意すべき点についてお伝えしていきます。

脳卒中では片麻痺といって左右どちらかに麻痺が強く現れるパターンが多く、これは右脳、左脳どちらのダメージを受けたかによって違いってきます。
例えば右の脳血管がダメージを受けた場合、反対側である「左の手足」に麻痺が現れる特性を持っています。
一方で、体の中心部分である「体幹」は左右の脳神経両側から命令を受けているので、片方の脳がダメージを受けても、左右差が生じることは少ないという特徴があります。

このように、「手(末梢)」と「体の中心(体幹)」では筋肉をコントロールしている神経が少し異なる為、片麻痺の場合でも体幹部分は左右どちらも麻痺が生じているという点に注意が必要です

さらに、人は何かしら動作を行う前に、体幹や体の芯を固定する力が無意識に働きます。
つまり手を自由に動かすには、この無意識に働いている体幹の安定性が不可欠であり、体幹が不安定なまま「手の運動」ばかりしてしまうと、余分な力を使ってしまったり、変な癖を生んでしまう恐れがあるという点です

よくみられる悪いパターンは(代償動作)は、腕をあげようとして「体を横に傾ける」「体を後ろに反る」「肩だけ過剰に力が入る」などです。
実は腕をあげる動作一つとっても、背骨や肩甲骨が同時に連動して動きます。
そのため、腕を上げる、広げる動作の前に肩甲骨や体幹の安定性をしっかりとトレーニングする必要があるんです。

まとめると、脳卒中の方は体の中心部分が安定する前に手を動かす練習をどんどんしてしまい、特定の緊張を高めてしまう傾向にある。
その為、体幹や肩甲骨の安定性をしっかり練習してから、手の動かす練習を始めることをオススメします

脳卒中の自主トレ 肩・腕

脳卒中オススメ自主トレ パート1

  1. 両ひじを寄せた状態で、肘をテーブルにつく。(図1-1)
  2. 体(背骨)を伸ばす、丸めるを繰り返します。(図1-2)

*体を伸ばす時は肩甲骨を寄せて、体を曲げる時は肩甲骨を開きます。

効果
この動作によって肩ー肩甲骨ー背骨の安定性や連動を高められます。

脳卒中オススメ自主トレ パート2

  1. 後ろに設置したテーブルにお尻をつけます
  2. 親指を外向きにして両肘を伸ばした状態で手をつきます
  3. 少しテーブルに寄りかかった様な状態から体を反ったり、丸めたりします

*足を伸ばして座った姿勢でも行えます。

効果
この動作によって肩や肩甲骨で支える力と背骨や肋骨の可動性が高められます。

脳卒中オススメ自主トレ パート3

  1. 後ろに設置したテーブルにお尻をつけます
  2. 親指を外向きにして両肘を伸ばした状態で手をつきます
  3. 少しテーブルに寄りかかった様な状態から左右への重心移動を繰り返します

*肩甲骨を軽く寄せた状態にします。特に麻痺側の手でしっかりを体を支えましょう。
*足を伸ばして座った姿勢でも行えます。

効果
この動作によって特に麻痺側の肩や肩甲骨で支える力が高められます。

脳卒中オススメ自主トレ パート4

  1. 両ひじを伸ばして四つ這いの姿勢になります
  2. 四つ這いの姿勢から背中を丸める、反る動作を繰り返します

*背中を丸める時は手を床に押して肩甲骨を広げ、息を吐きます。(図4-1)
*背中を反る時は肩甲骨を寄せて、息を吸います。(図4-2)
*肘を伸ばした状態での四つ這いが難しい場合は「肘つき」で同様の動きを行なってください。

効果
この動作によって特に肩ー背骨ー骨盤の安定性、連動性が高められます。

まとめ

いかかでしたか。
脳卒中では手や指など体幹(体の中心)から遠くなるほど、動かすのが難しく、無理に動かし続けると返って悪い癖がついてしまう事もあります。
そのため、動かしずらい「手先」からではなく、手が動くために必要な「体幹(体の中心)」からトレーニングしていくのがオススメです。

  • 手先の動きよりもまずは体の中心部分を安定させる
  • 動かしにくい手をがむしゃらに動かすと、過剰な力が加わり身体が硬くなっていく
  • 動作はゆっくりと行う
  • 痛みがある場合は無理をしない

退院後はリハビリを行える機会が一気に減りますよね。
外来や訪問リハビリで頑張られてる方も多いと思いますが、回数や時間が限られしまいます。
でも、身体はすぐに硬く動かしにくくなってしまため、毎日のケアが大切!!
そのため、ご自身で身体のケアを行なっていただき、足りない部分やもっと積極的なトレーニングがしたい場合は我々がお手伝いさせていただきます。

参考文献

  1. 回復期脳卒中患者の麻痺側上肢の近位機能と日常生活における上肢スキルの関係
  2. 脳血管障害片麻痺患者の上肢に対するアプローチ
  3. 片麻痺の体幹の崩れ