慢性期脳卒中片麻痺、ピラティス運動により歩行機能改善!!

ここ数年で「ピラティス」が行えるスタジオや大型トレーニングジムが増えてきていますよね。
そんなピラティスですが実は脳卒中の治療に効果が期待されており、その活用方法を生み出したのは理学療法士なんです!

脳卒中では左右どちらかの脳がダメージを受けることで半身麻痺が起こり、大きな問題として「脳と身体のつながりが遮断され、うまく脳からの命令や抑制が届かなくなってしまう」ことにあります。
ピラティスではそんな「脳と身体」をつなぎ合わせる、復活させることを目的として生み出されたそうです!

今回はそんな「ピラティス運動」を利用して歩行機能の改善に着目した研究とオススメの運動をピックアップしましたのでご紹介させていだきます。

内容

慢性片麻痺患者の歩行に及ぼすピラテス運動の8週間のプログラムの効果を調査し、脳卒中後の患者のリハビリに使用できるか否かを決定すること。

対象

慢性期片麻痺患者(年齢66.1±4.4歳、高さ162.3±8.3cm、重さ67.4±12.3kg)20名。

方法

週に3回、1セッションにつき60分、8週間実施しました。運動はウォームアップ運動、主運動、クールダウン運動で構成されていた。心筋の安定性を改善するために、主運動の前後に座った姿勢で呼吸運動を行った。

結果

8週間のエクササイズ前後で歩容パラメータと左右非対称性(麻痺側と非麻痺側)の変化を見た。
歩行パラメータについては、すべての変数について増加した。歩幅、歩行速度、膝関節可動域、および股関節可動域について改善が見られた。左右非対称性についてはすべての変数で有意な改善が見られなかった。

結論

8週間のピラティス運動プログラムが慢性期片麻痺患者の歩行パラメータを改善することが証明された。特に歩行速度に関しては有意に改善効果を認めた。

ピラティス運動はContrologyとも呼ばれ、筋肉制御の考え方に基づいています。
これは、歩く時に背骨の過剰な屈曲と伸展を防ぐために、安定した背骨に焦点を当てたのもで、筋力や持久力、柔軟性の改善に効果を発揮すること言われています。
特に脳卒中や脊髄損傷またその他の疾患でも有効なエクササイズの一つであると考えられいます。

ピラティス=『健康な体』『自由な体』を作るとも言われて、自分自身のカラダを知り、正しく使っていくこと。それが“コントロロジー”です。

下記に今回の研究で実施されたエクササイズで特に脳卒中片麻痺者に有効だと思うプログラムをご紹介しています。ぜひチャレンジしてください。
基本的には「コア」身体の中心を常に意識して行うというのがピラティスの考えですので、運動の際は身体の中心「コア」を意識します!
またご紹介している運動はほんの一部ですので、まずはご自身の体の状態を知り、正しく使って「健康な体」、「自由な体」を作って行きましょう。

エクササイズ

Prone glute series-heel squeeze(うつ伏せでのお尻上げ)

Foot and ankle strengthener(立位でのかかと上げ)

Bridge(お尻上げ)

脳卒中

参考文献

Roh S, Gil HJ, Yoon S. Effects of 8 weeks of mat-based Pilates exercise on gait in chronic stroke patients. Journal of Physical Therapy Science. 2016;28(9):2615-2619. doi:10.1589/jpts.28.2615.